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カリフォルニアで見た分断〜さまざまな視点から

渡米して7年目。


これまでカリフォルニアには、

サンディエゴにバカンスで訪れた一度きりで、

ロサンゼルスには全く縁がなかった。


東京出張中に不法移民の強制送還を巡る

デモのニュースが流れ、

外務省からも移動時の注意喚起が出ていたので、

少し心配しながらロサンゼルスへ向かった。


ロサンゼルス空港に到着すると、

周辺は意外に静か。

煙も見えず、軍隊の気配もない。

「ほっ」と胸をなでおろした。


私には、バンコクの赤シャツ隊の騒動で

催涙弾を避けた経験や、

ソウルの大規模デモを間近で見た記憶がある。

だから「今度はロサンゼルスか」と

苦笑いした。


迎えの運転手さんに早速状況を尋ねると、

デモは主にダウンタウンで起きていて、

私たちが泊まるビバリーヒルズのホテル周辺は

安全とのこと。


この運転手さんは中東出身の移民一世で、

30年以上アメリカに住むフレンドリーな方。

自分の意見をこう語ってくれた。


「暴力や窃盗が起きれば、

それはもう『平和的なデモ』じゃない。

カリフォルニアは対応が遅すぎるし、

税金は高い。

不法移民を保護する

サンクチュアリ政策もおかしい。

トランプ大統領は

クレイジーな部分もあるけど、

DOGE(政府効率化局)で

税金の使い方を正しているのは評価できるよ」


ふむふむと聞きながら

車窓を眺めていると、

すぐに違和感に気づいた。


まず、ガソリン価格が高すぎる!

ミシガンでは1ガロン約3ドルなのに、

カリフォルニアは6ドル近い。

州税の違いだろうか。

今ですらこの値段。

少し前はどうだったのだろう。


次に驚いたのは、

星条旗がほとんどないこと。

ミシガンやニューヨークでは、

星条旗が街中にたなびく姿に

「アメリカに来た!」としみじみ感じたものだ。


でも、ロサンゼルスの高速道路や

街中には旗がポツポツある程度。

住宅にもちらほら。

代わりにカリフォルニア州旗はよく見かける(笑)。


なんだか、私の知るアメリカとは違う雰囲気。


街に入ると、「テナント募集」の看板が目立つ。

ダウンタウンのオフィスビルは空室だらけで、

まるでゲットーのよう。


歩道や車道はボコボコ、

雑草は生え放題、

高速道路の脇にはゴミが散乱している。


コロナ禍以降、多くの人がカリフォルニアや

マンハッタンから移住したと聞いていたが、

納得の光景だ。

予想以上に荒んだ印象だった。


カリフォルニアの人々は

「デトロイトに言われたくない!」と

笑うかもしれないけど、

正直、現実を見た方がいいと思う。


日本では

「カリフォルニア=富裕層の楽園」の

イメージがあるかもしれないが、

もしそうなら、庶民との格差は相当なものだ。


ビバリーヒルズに泊まったけど、

昼間にホームレスが道から

ニョキっと現れてヒヤッとした。


もっとキラキラした場所を想像していただけに、ちょっと残念。


到着日のディナーは、

某テレビ局のプロデューサーである友人と。

彼は筋金入りのトランプ嫌い(笑)なので、

発言に気をつけながら話したから、

気遣いで疲れたけど楽しかった。


彼は「平和的デモ」を

毎日ニュースで追いかけていて、

海兵隊まで投入されたことに不満げだった。


でも、リトルトーキョーや

日系人博物館がデモで襲われ、

落書きや破壊でめちゃくちゃになった

写真を見せて「悲しい」と語っていた。


私もリトルトーキョーを見られなかったのは

残念だったよ。


興味深かったのは、

私がアメリカの帰化申請中だと話すと、

「なんでアメリカなの?」

「あと3年待てない?」と言われたこと。


要は、トランプ大統領の写真の前で

宣誓なんてイヤだ、ということらしい(笑)。

申請したのはバイデン政権時だったけどね。


「大統領で国籍を変えるの?!」と

突っ込みそうになったけど、

旦那さんが穏やかに国家の定義について語ってくれて、彼も静かに聞いてくれた。


翌日のイベントのガラでは、

韓国から来た要人の奥様と

2年ぶりに再会して、

キャッキャと盛り上がった。


彼女は30年前にカリフォルニアを旅行で訪れ、

今回コリアタウンで友人と会ったけど

「あまり変わってなかった」と笑う。

昼間にデモに遭遇したそうだが、

「10人くらいしかいなかったよ〜」と

朗らかに話していた。


私たちは、ソウルの光化門広場が

人で埋まるような大規模デモを

何度も見ているから、

10人程度の非暴力的なデモは威圧感ゼロ。

確かにそれは「平和的」だなと納得した。

ただ、場所によっては数百人が

警察と衝突しているので、一概には言えないですね。


帰りの運転手さんは、

デモの背景に「No Kings」という団体が

関わっていて、全米で抗議を組織していると教えてくれた。


土曜には全米でデモがあるらしいけど、

それぞれの規模はわかっていない。

最も注意すべきは、

ワシントンD.C.のパレードかもしれない、とのことだった。


ミシガンの近所の人にメールで様子を聞くと、

「今のところ何も変わらないけど、

気をつけてるよ」と言っていた。


私たちアメリカの住民は、

ANTIFAやBLMの暴動を思い出す。

特にケノーシャの衝撃的な騒動は、

「平和的」と呼ばれたデモが暴徒化した例として

記憶に残っている。


あの時のデトロイト警察の対応は頼もしかった。

公式会見で

「デトロイトでそんな騒動を起こしたら、

全員ブタ箱行きだ!」とキッパリ。

住民も「Yeah!!」と拍手喝采だった。


言動が一致しないのは良くない。

共和党も民主党も、

どの国にも、

言ってることとやってることが

違う人はいるけどね。


皆さんは、私の旅行記をどう思いますか?


東京へ向かう飛行機の中で書いているから、

このブログが公開される頃には、

どこかで何かが起きているかもしれない。


私は、社会のルールは守るべきだし、

誰も他人の生活を脅かしたり、

リスペクトを欠く行為をしてはいけないと思う。


犯罪や暴力を喜ぶような人々を、

金や権力で煽動する人は重罪だ。

そんな人間がいることに悲しみを覚える。

破壊行為で心が満たされるはずがないのに。


彼らには聞く耳がないかもしれないけど、

一度きりの人生を棒に振ったり、

魂を傷つけるようなことは

やめてほしいと切に願う。

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